帝国ホテルが教えてくれたこと
発行年: 1999年
著者: 竹谷年子
発行: 大和出版
204頁
昭和8年、帝国ホテルの女子客室係第一号として入社し、以降60年近い勤務の大半をVIP(国賓級)の特別室係として勤め上げた女性の手記。
この本は、ネコノヒゲがとても尊敬していた、ある接客業の女性がご紹介くださったものです。
本当に笑顔の素敵な方で、人格者でもありました。
いつもお客様を第一に思う姿勢が伝わりますので大変人気があり、観察していると、上司・同僚・部下のどなたにも好かれ、慕われているのが良く分かりました。(大変お若いのですが上の方の役職者でしたので、常に全国の支店を飛び回っていたようです)
ある時、一対一でゆっくりお話をする機会に恵まれ、「接客の秘訣」という話題になった際、こちらの書籍を愛読しているとお聞きしたので、早速購入。
尊敬する方の愛読書ということも動機でしたが、日本を訪れる世界の要人に付き、長く愛される客室係とは一体どんな人物なのだろう……?と興味を持ったのも大きかったです。
拝読した印象は、期待を裏切らず、著者が「素敵な生き方をしている女性」ということ。
そして、接客マニュアル等からは掴みにくい、竹谷さんの細やかな「サービスの気持ち」が、優しい言葉に乗せて伝わってきます。
愛読しているからなのか、元々接客業を通して掴んだ生き方とシンクロしたのかは分かりませんが、書籍を紹介してくださったエステティシャンの方に通じるものを感じました。
古き良き時代から受け継がれる、日本の「おもてなし」の心が詰まった一冊。
接客とは何か、迷いが走ってしまった方に。
また、世界中から日本を訪れる方々が増える東京オリンピック前、今一度接客について考えたい方に、そっと寄り添ってくれる書籍だと思います。
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