あの夏、一番静かな海。
「あの夏、一番静かな海。」
1991年公開
製作国=日本
監督・脚本=北野武
時間=101分
キャスト=茂 - 真木蔵人、貴子 - 大島弘子、田向 - 河原さぶ 他
色々と思い出深い作品。
「監督が、たけし?うーん、どうだろう」
迷った挙句、正直、話のネタにでも……と興味本位の態度が、思いっ切り裏切られた映画。
結論から申し上げますが、優良作品であり、考えさせられることの多かった作品でもあります。
この映画が製作された頃は、まだ「北野武監督」というポジションはそれほど定着していなかったと記憶していますが、彼の感性の奥深さを見せつけられた、「目からウロコ映画」でした。
今も相当悔しい()
驚いたのが、映画全編通して、主役の台詞が皆無!
そして、観終わった後に残る、何とも形容し難い余韻。(というか……思い切り泣けました正直)
しゃべくりイメージのたけしが、代名詞の「台詞」というものをとことん削り、受け取る側に直接伝達する才覚が、ここまで高いとは思いもしなかったのです(失礼の極みで本当に申し訳ありません)。
でも、よくよく考えてみれば、「トーク能力が高い=無駄なおしゃべりが少ない」の法則。
やはり彼の感性が半端ないことを、この映画は密かに証明してくれていました。
ただ、これは言わせて頂きたい。
……音楽担当に久石譲の起用はずるい!!
伝達スピードが加速しますから。
これをきっかけに、北野武映画は色々拝見しましたが、あくまで個人的な感想としては、
「初期の熱さに勝る温度はない」
「監督本人は出なくても全然いい」
……でしょうか。
いや、ご本人がキャスト入りしていても決して悪くないのです。
「キッズ・リターン」も感動しましたし(……って、やっぱり監督出ていませんねこれも(笑))
もし叶うのでしたら、内容や監督名を聞かず、まっさらな状態で映画を鑑賞し。
余韻を堪能した後で、監督の名前を聞いて驚いて欲しいな……と思う作品です。