マヌルネコと日本画の虎
豊かな表情と愛くるしい容姿で、最近何かと話題のマヌルネコ。
ふかふかのぬいぐるみのようです。
実のある部分がどこなのか、じっくり探ってみたい衝動にかられます。
日常見慣れた猫とは随分違った印象を受けるのは、丸いまま収縮する瞳孔のためでしょうか。
しかし……この顔によく似た生き物を、以前どこかで目にしたような。
と、記憶の糸を手繰って出てきたのが、円山応挙「遊虎図」の、「八方睨みの虎」。
参考: 金毘羅宮
円山応挙は江戸時代後期の絵師。
当時は本物の虎を直接見る機会がなかったため、毛並みは毛皮、瞳は猫を参考に描いたそうです。
また、絵師を目指す方々が有名な先生の作品を模写して学ぶ結果、空想の虎が散見されることになります。
応挙の虎は、言わば空想と現実の産物ですが、どこかユーモラスにも感じる丸いフェイスラインに、個人的にマヌルネコとの共通点を感じるのでした。