レールデュタン/L'air du tamp
《 レールデュタン/L’air du tamp ニナ・リッチ/NINA RICCI 》
トップノート: ベルガモット、シトロン、ピーチ、ジャスミン、ガーデニ
ア
ミドルノート: ローズ、カーネーション、イリス、イランイラン、リリー
ラストノート: サンダルウッド、ベチバー、シダー、クローブ、ブラック
ペッパー、ナツメグ、バニラ、ムスク
トップノートは花の香りがメインですが、バニラのベースが全体を甘く
まとめているイメージがあります。
洗練された大人の女性向きかと思います。
1948年発売。
レールデュタン=「時の流れ」。
素晴らしいネーミングです。
この作品にまつわるエピソードが、個人的にインパクトを残してくれたものがありますので、ご紹介します。
まず、こちらの香水瓶。
最新のキャップは、クリアで抽象的な鳥のモチーフになっていますが、以前出ていたボトルの方は、鳥モチーフ部分が艶消し加工です。
とても優美なデザインで、眺めているだけでも楽しくなります。
(※余談ですが、ルネ・ラリック/Rene Laiquelの限定デザインボトルの場合、底面に小さくグ
ラヴィール彫刻のサインが入っています。
香水瓶が小さいせいかとも思ったのですが、思い返せばラリックの作品は、香水ボトルに限ら
ず花瓶・器など、大振りの作品に入れるサインも、ものすごく微かで小さいですね。
恐らく、作品のイメージを損なわないよう配慮していらっしゃるのでしょう。)
しかし、インパクトを残してくださったのは、2012年10月19日に放映された「探偵ナイトスクープ」の依頼のひとつ、「お母さんのにおいを探して」という番組。
有名なお話ですので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
6年前に亡くなった、お母様の形見のアトマイザー(残り香のみ)を手掛かりに、愛用していた香水の銘柄を探して欲しいという娘さんからの依頼にもとづき、香りのプロ達を巻き込んで捜索にかかるのですが……。
・香水の液体がない。
・時間と共に、香りが変化してしまっている。
ということもあり、再現も難航。
しかし最後に、驚くべき結末が!! → 「お母さんのにおいを探して」(15:07〜)
感情移入して、もらい泣きしてしまいました。
これこそ、人の個性を彩るのにふさわしい、香りにまつわる感動的な話。
と、ここで終わるはずだったのですが、画面の箱を目にした瞬間、思わず叫んでしまいました。
忘れもしません。
番組放映の数ヶ月前、仕事の関係で、私自身の手元に、同じサンプルが1個あったのです。
箱もボトルも、寸分違わぬ未開封品が!
もし、あれが手元にある段階で番組が放映されていたなら、間違いなく依頼者に、予備としてお譲りできるよう手配できた環境だったのに……。
番組経由でお送りすることも可能だったはず……と思うにつけ、香りと一個人のイメージが融合した嬉しさと、時間差で叶わなかった悔しさが織り交ぜになり、個人的に、何とも言えない歯がゆい気持ちになる作品です。